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2025.05.11

運動部活動?地域スポーツクラブで指導する人材をオンライン講座で養成 「運動部活動指導認定プログラム」第5期 20~50代の会社員らが受講

 大阪体育大学は、運動部活動や地域のスポーツクラブの指導に携わる人材を養成するため、社会人向けオンライン講座「運動部活動指導認定プログラム」を2023年から春秋に実施しています。5期目となる2025年度春開講の開講式と授業が5月10日(土)、大阪市北区天満の大阪体育大学アネックス(同窓会館)で、対面?オンライン併用のハイフレックスで行われました。

対面で講義を受ける運動部活動指導認定プログラムの受講生


◆受講の動機は「地域移行に携わりたい」「指導力のスキルアップ」
 受講生は20歳から53歳の会社員、公務員、教員、主婦など17名。千葉県から長崎県の8都府県から参加しました。11名は部活動やスポーツ活動の指導経験はなく、「運動部活動の地域移行に携わりたい」「子どもがしたい運動部がなくなるのはかわいそうだと思ったから」などが参加の理由でした。6名は学童野球やサッカー、ソフトボールなどの部活動指導に取り組んでいて、「指導力のスキルアップ」「運動部活動への理解を深めたい」「指導者資格を取得したい」などの動機が挙げられました。
◆受講生が「部活動の意義」「部則の策定」で議論
 10日の講義は、運動部活動改革プロジェクトチームリーダーの中尾豊喜教授が担当しました。第1講の「学校部活動と新たな地域クラブ活動」では、参加者はグループに分かれ、部活動のプラス面、マイナス面を生徒?学校?家庭?地域社会の4つの視点に分けて議論し、発表しました。また、部活動が戦後の学習指導要領の変遷でどう位置付けられているのかを振り返り、部活動は、平成10年告示まで記載がありませんでしたが、平成20?29年告示は総則に「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう」位置付けられていることが説明されました。
 第2講の「こども観?教育観?指導観リフレクション」では、新たな教師像や新たな生徒指導観などが説明され、「部則の策定」をテーマにグループごとに議論し、結果を発表しました。
◆スポーツ庁受託を契機に「運動部活動改革プロジェクト」が本格化
 大体大は2019、20年度にスポーツ庁から「運動部活動改革プラン」事業を受託したことを契機に運動部活動改革プロジェクトを本格化させました。
 運動部活動は、教員が多忙のため学校で十分な指導ができず、中学校では週末の部活動を地域に移行する方針が決まるなど大きな転換点を迎えています。資質や能力を備えたスポーツ指導者の確保が急務です。
 このため、大体大では、運動部活動指導を希望する学生を対象にした教育プログラム「グッドコーチ養成セミナー」を2021年度に開設しました。学校教育や部活動指導員制度、コーチングの基礎、スポーツ倫理、事故対応など指導に必要な事項を学生に教えています。また、大体大は各自治体に、競技や条件が希望とマッチした学生を紹介。学生70人(2025年2月現在)が中学校などで指導にあたり、ソフトバンク株式会社と連携した部活動へのICTの活用も進めています。
◆受講修了者はJSPO公認「スポーツコーチングリーダー」資格を取得
 運動部活動指導認定プログラムは、「グッドコーチ養成セミナー」のプログラムを社会人対象として発展させた内容で構成され、文部科学省?厚生労働省の認定を受けたプログラムです。
 60時間のカリキュラムを修了すると、本学が発行する修了証に加え、学校教育法に基づく「履修証明書」が交付され、日本スポーツ協会(JSPO)公認スポーツコーチングリーダー資格を取得できます。
 2025年度から、基礎科目20時間修了時、基礎科目プラススポーツ科学に関する科目46時間修了時にもそれぞれ大学独自の修了証明書が発行されることになりました。

運動部活動改革プロジェクトチームリーダーの中尾豊喜教授


◆カリキュラムは危機管理、スポーツ科学、部のマネジメントなど多岐に
 部活動指導では、競技の指導力だけでなく、事故対応など危機管理や生徒一人ひとりの身心のケア、学校?保護者との連携などに関する幅広い知識や技能が求められます。同プログラムのカリキュラムは、熱中症対策や事故対応、心理学、栄養学、バイオメカニクスなどスポーツ科学に関する科目や学校?保護者との連携、部のマネジメントなど多岐にわたっています。
 同プログラムは、文部科学副大臣やスポーツ庁の担当者が本学を視察するなど、「グッドコーチ養成セミナー」とともに、国内初の先進的な取り組みとして注目を集めています。
 カリキュラムは以下の通り。
<カリキュラム>
【基礎科目】(10科目20時間)
 学校部活動と新たな地域クラブ活動▽こども観?教育観?授業観リフレクション▽運動部活動の実践ⅠⅡⅢ▽心停止?頭頚部外傷?熱中症への対応▽安全?障害予防に関する知識?技能の指導▽体罰?ハラスメントの根絶に向けて▽事故が発生した場合の現場対応▽女子生徒?障害のある生徒などへの配慮
【スポーツ科学に関する科目】(13科目26時間)
 生徒の発達段階に応じた科学的な指導▽コーチングの心理学▽発育発達▽トレーニング計画▽部活動におけるICT活用▽スポーツ倫理▽スポーツ栄養学▽バイオメカニクス▽運動部活動とメンタルヘルス▽ゲームパフォーマンス分析▽コーチング▽スポーツマーケティング▽スポーツマネジメント
【応用科目】(7科目14時間)
 部活動指導員とチーム学校▽学校教育と保護者への対応▽服務▽顧問や部活動を担当する教諭等との情報共有▽部活動の管理運営▽中学校の理解▽保健室(養護教諭)との連携
【自由選択科目】(4科目8時間)
 剣道?水泳の指導基礎▽陸上競技?サッカーの指導基礎▽バスケットボール?バレーボールの指導▽ハンドボール?テニスの指導基礎

◆50歳会社員 「自分がやりたかったことは何?」が受講のきっかけ
 京都府の男性会社員(50)は地域のスポーツクラブで初めてサッカーの指導に取り組むために受講しました。「子どもが大きくなり、『自分がやりたかったことって何やった?』と振り返ったのがきっかけだった」といいます。現在大学生の長男は通っていた小中一貫校で中学からバスケットボールを始めたかったが、中学にバスケ部はなかったそうです。長男は小学6年の時に自ら校長先生にお願いしたがかなわず、地域のクラブチームでバスケを始め、高校まで続けました。男性は「学校の部活動は年々、状況が厳しくなっているが、子どもたちが好きなスポーツを選べる環境を大切にしたい。学校単位で整備するのは難しいので、もっと広く、親や地域が環境を作っていくことで変えていけるのではないか」と話します。男性は35歳ごろまでサッカーをプレーしました。「会社では残業もあり、自分1人での指導は難しいが、同じ世代のサッカー仲間を巻き込んで、地域で活動できたら楽しい」。運動部活動指導認定プログラムでは、「選手として自分が関わってきた指導と今の指導法は違うので、この講座で学び直したい」と意欲を語りました。

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